魔法おじさんは世界で7つの海と戯れブログぴー

ブログタイトルの「ぴー」の部分には下ネタや差別発言を日替わりで表示させていたのですが、各方面から袋叩きにあったため伏せ字にした「ぴー」です。

「le français」と「français」の違いって知ってます? ぼくしらない ~フランス語の定冠詞と無冠詞おさらい~

ブログぴー外国語教室ではもはやお馴染みとなっておりますこのパターン。

何でこっちは定冠詞で、こっちは無冠詞なんだ?

Pour apprendre le français, il faut que vous regardiez des films français.
(フランス語を習得するには、フランス映画を見る必要があります)

Il faut que vous puissiez parler français avant d'aller en France.
(フランスに行く前にフランス語を話せるようになっていなければいけません)

le français」と「français」の違いって知ってますですかねみなさま。

 

ぼくしらない。

 

例文は、口が覚えるフランス語 より

定冠詞おさらい

まずはフランス語の定冠詞をおさらいです。

 

NHK出版 これならわかるフランス語文法
定冠詞 より

定冠詞は、「その…、例の…」のように、すでに話題になるなどして聞き手が特定できる対象を指す時に用います。
また、種全体を示す時にも用います。
①範囲内で同種のものが唯一
②範囲内の同種の他のものから何らかの特徴で区別されて唯一

 

つまり定冠詞は、聞き手と話し手が「あの事ね」と共通の認識を持てる場合に使えるということです。

 

不定冠詞おさらい

そして不定冠詞とは。

 

NHK出版 これならわかるフランス語文法
不定冠詞・部分冠詞 より

不定冠詞と部分冠詞の機能の仕方は同じです。どちらも、全体からある一部分を取り出すものです。

 

全体の中の、一部分。

これが不定冠詞の根っこのイメージです。

 

無冠詞おさらい

じゃあ無冠詞はなんなのかといいますと。

例えば、「犬」というカテゴリの中から、「貴方が飼ってる犬連れてきてよ」となったら、それは定冠詞です。

聞き手も話し手も「ああ、あの犬ね」と共通の犬を思い浮かべることができるからです。

一方で、「犬」というカテゴリの中から、「何でもいいから犬を連れてきてよ」となったら、それは不定冠詞です。

何か一匹犬が来るけど、それがどんな犬を連れてくるかわからないからです。

 

上記を踏まえまして。

 

じゃあ無冠詞とはなんなのか。

 

それは、「犬というカテゴリ」が無冠詞の領域です。

貴方が飼ってる犬も、何でも良いから連れてきた犬も、お隣さんが飼ってる犬も、モップみたいな犬も、地獄門の番をしてるような犬も、全ての犬が含まれた、「犬というカテゴリ」。

それを無冠詞は表現できるのです。

 

「le français」と「un français」と「français」の違い

そのものズバリを解説してくれている動画がありましてね。

じゃあ最初からそれ貼れやハゲとかみなさんは思うのかもしれませんけれどもね、

 

 

僕もそう思います。

 

 

Je parle français? ou Je parle le français?「私はフランス語を話します」より
 

 

 

 

Je parle français? ou Je parle le français?「私はフランス語を話します」より
www.youtube.com_

le françaisの場合

定冠詞のおさらいでも説明した通り、定冠詞の鍵は「話し手と聞き手の共通認識」です。

聞き手も話し手も、「ああ、あれね」と共通認識を持てるフランス語、それが「le français」です。

それでは、みんなが「ああ、あれね」と共通認識を持てるフランス語とはなんでしょうか。

それは、「標準フランス語」です。

学校で習うような、テレビでアナウンサーが話すような、聞き取りやすく綺麗で訛りもスラングも若者言葉も方言も一切ない、文法も発音も正しいいわゆる教科書フランス語のことです。

 

un françaisの場合

一方で不定冠詞の「un français」は、「フランス語というカテゴリすべて」から、持ってきたひとつのフランス語です。

南仏の方の訛りがまじったフランス語かもしれませんし、若者言葉でバリバリにアレンジされたチョベリバ・フランス語かもしれません。

そんな、「とある誰かの話すフランス語」を表すのが「un français」なのです。

 

français(無冠詞)の場合

となると無冠詞のfrançaisとは?

「フランス語というカテゴリすべて」を意味します。

完璧なフランス語はもちろん、南仏訛りのフランス語や、チョベリバ・フランス語、そして、フランス語学習を始めたばかりの魔法おじさんが話す辿々しいフランス語も含まれます。

そんな色んなフランス語が一緒くたに詰まったサラダボウルを、この無冠詞françaisで表現することができるのです。

 

以上を踏まえまして。

本日の例文を見てみましょう。

 

Pour apprendre le français, il faut que vous regardiez des films français.
(フランス語を習得するには、フランス映画を見る必要があります)

le français と定冠詞になっていますから、学校に通ったり、仕事で通用するような、正確で高いレベルのフランス語を想定していると解釈できます。

 

Il faut que vous puissiez parler français avant d'aller en France.
(フランスに行く前にフランス語を話せるようになっていなければいけません)

一方で、こちらは français と無冠詞になっています。

「世の中にはさ、いろんなレベルのフランス語があるけどさ、文法とか発音が正確ではなくていいんだけどさ、とにかくさ、コミュニケーションがとれるだけのさ、フランス語をさ、話せるようになっといたほうがいいよ!」

こんな解釈、いかがですかみなさま!

 

もうひとつの無冠詞français

実はこの「無冠詞 français 」には、もうひとつ裏の解釈があります。

それは、「副詞としてのfrançais」です。

順を追って見てみましょう。

 

parlerの意味

動詞parlerには、自動詞という側面もあります。

 

新スタンダード仏和辞典 デスク版 より

Parler:自動詞
話す
口をきく
喋る
意見を述べる

自動詞の特性

自動詞ということは、後ろにそのまま目的語を置くことはできません。

後ろに続く目的語には基本的に、何らかの前置詞が必要です。

 

Il faut que vous puissiez parler français avant d'aller en France.

 

しかしながら、 français には前置詞がありません。

なので、parlerを自動詞とみなした場合、このfrançaisは目的語ではないということになります。

ではなんなのか?

 

français の意味

さらに français を辞書で調べてみます。

 

新スタンダード仏和辞典 デスク版 より

français:形容詞

フランスの
フランス人
フランス語
無冠詞の場合、françaisは副詞的補語とみなすこともできる

 

無冠詞の場合は副詞と捉えることもできると。

 

彼は話します。

どんな風に?

フランス語の文法・単語・発音で=フランス語で

 

副詞françaisは、このように動詞 parler について、「どんな風に話しているのか」を説明しているわけですね。

 

副詞と目的語でどう違うのか

françaisを他動詞の目的語とみるか、副詞としてみるかの2つのパターンが考えられると説明しました

そこで気になってくるのが、その2つのパターンで何が違うのかってとこです。

 

parler français(他動詞+無冠詞目的語)
parler français(自動詞+副詞的用法の形容詞)

 

ここからは僕の感覚でお話さしてもらいます。

 

parler le français など、直接目的語の場合には、シンプルに「フランス語を話す」という解釈でよいでしょう。

 

一方で副詞の場合は、「フランス語の文法・単語・音声を用いて話す」といった具合で、「どんな風に話しているのか」を説明するニュアンスになると考えます。

 

だから、何がちゃうねんって話ですよね。

 

例えば、みなさんは滝沢カレンさんをご存知でしょうか。

ちょっと不思議な日本語を話すタレントさんです。

日本とウクライナのハーフで、日本語はあまり得意ではないそうです。

そんな滝沢カレンさんの変な日本語こそ、「 副詞のjaponais 」がピッタリだと思うんです。

日本語の文法・単語・音声を使って話してる。だけど、少し不思議な日本語。

そんな含みを持ったニュアンス。

 

「彼はフランス語の文法と単語と発音でフランス語を話すよ。でもそれがピュアなフランス語かっていうと、まあ、判断は君に任せるよ」

みたいな?

 

彼はフランス語を話すよ
彼はフランス語で話すよ

 

伝わりますですかね、このニュアンス。

 

「いわゆるフランス語なんだけど…」と何かしらの含みを持たせられるのが、僕の感じる「 副詞のfrançais」なのです。

 

と、いうわけで。

副詞のfrançaisは僕の妄想も多大に含まれておりますので、いつかフランス人のお友達ができたら話のネタに確認してみたいと思います。

 

そんなわけで以上、不思議な無冠詞français!!でした。

 

本日の参考図書達